「ネパールの羽根田医師達:恵みと驚異
ネパールのヒマラヤ山脈の麓のベシサハールという村にあるキリスト
教の病院で医療奉仕をしている羽根田医師ご夫妻のところに、次女の泉
がボランティアとして参加しています。実際にはワシントンを出て
10日目でようやく到着したような次第です。ネパールの首都カトマンズに
到着した日に、病院の存在を嫌うあるグループの人たちによって騒動
が起こり、羽根田医師たちもカトマンズに一時避難することになりました。
病院の代表の方の決死的な交渉で、逆に村の人たちが病院を暴徒から
守ると約束してくれてました。それで泉も羽根田医師たちと一緒に昨日
病院に入りました。
そんなこともあってカトマンズからベシサハールまでの道のりや、ネパー
ルの社会情勢が気になって、ネパールについての旅行者用の本を
買ってきて調べたりしました。8千メートル級のアンナプルナ山を中心
としたトレッキングの案内もしっかりとあって読み応えのある本でした。
それで、ネパールという国のイメージを勝手に描くことができました。
と同時に、羽根田医師ご夫妻がネパールに惹かれるように3年ほど前
に出かけていったときのことを思い起こしています。山形の北の村山市
というところでご夫婦で開業をしていました。居間で始まった聖書研究
が教会として成長して、病院の隣に会堂が建ち並んでいます。地元の人
たちにも慕われています。薬のセールスマンにも伝道して信仰に導いて
います。静かな街ですが、病院の待合室は人があふれ、教会の礼拝も家
族連れでいっぱいです。 病院の駐車場は日曜日には教会の駐車場
となります。
ご夫妻が医学生であったときにKGKの主事として関わったこともあって、
ミニストリーとしても10年ほど前から交わりをいただいています。
それぞれの子どもたちの年齢も近いこともあって家族としての交わりも
いただいています。医院での忙しい生活があっても神との交わりの時を
より大切にしています。子どもさんたちがまだ家にいたときにはよく一緒
に家庭礼拝に参加しました。
羽根田医師ご夫妻が神からの新しいチャレンジを感じていることを話
してくれました。奥様のご両親も信仰を持たれたこと、子どもさんたちも
医学の学びに付いていること、教会もしっかりと成長していること、そも
そもご自分たちがクリスチャンの医師として召されている使命を再確認
させられていることを語ってくれました。そのままの状態で留まっていること
は許されない神の導きを感じていました。
医院のスタッフの人たちには極秘で、ある週末を使ってネパールの病院
の視察に行かれました。寝ずの旅の連続で月曜日の朝に医院に戻って
きました。そのまま診察について、しかもその日は特に患者さんの多い日
であったことを話してくれました。それを嬉しそうに話しているのを聞いて、
本気であることが分かりました。医院も別のクリスチャンの医師が引き継
いでくれることになりました。
ネパールに向かわれる前に北カルフォルニアに来てくださって、タホ湖の
湖畔で私たち夫婦としばらく静かな時を持ちました。イエスが弟子たちに
種蒔きのたとえの話をされた後に「さあ、向こう岸へ渡ろう。」と言われ、
そこで弟子たちが嵐に遭遇する箇所を一緒に思い巡らしました。
おふたりにとって「向こう岸」はネパールであると率直に語ってくれました。
それを伺って、ネパールでたとい嵐に遭うことがあってもこの方たちは大丈夫
だと思いました。実際に騒動が持ち上がって一時避難することになっても
落ち着いている羽根田医師たちの様子を見て、泉もどんなことが起こっても
一緒に病院に行くことを再確認したようです。
「向こう岸」は私にとっては太平洋を越えることでもありました。ということが
分かっていた上でアメリカに来たわけではありませんでした。後で納得できた
のです。ただ神は変動を起こす神であることが分かります。留まっていること
を許されない神です。変動を起こすことで新しい風を吹き込んでくるのです。
それで、思いがけない恵みに遭遇するのです。嵐にも遭遇するのです。
変動に関わるすべての人にとって、それは恐怖であり、驚異でもあります。
神はそれをあえて行われるのです。