ウィークリー瞑想

上沼昌雄(神学博士)のキリスト教神学エッセー

Monday, February 21, 2005

ファミリーの修繕

昨年の夏から妻の高血圧の問題と薬のリアクッションが繰り返して出てきました。解決のないままこの一月の終わりに一時危機的な状態を迎えました。それにともない3人の子どもたちが急遽家に帰ってきました。そして異なった視点から問題にアプローチしていきました。多少治療の方向が与えられてきました。妻も少し持ち直しています。

成人した3人の子どもたちが母親のためにあらゆる手だてを探り出してくれました。狭い家のなかで3人がそれぞれ携帯電話を駆使してあちこちに電話をしたり、相談をしたりしていました。そして出てきた可能性を母親が納得するように説明してくれました。それは今回の問題に対する姿勢や今までの生き方に関わることで、有無をいわせない迫力がありました。とりもなおさず子どもたち自身のことにも関わることでした。

アメリカのテレビのリアリティー・ショーのひとつにExtreme Makeover: Home Edition というのがあります。ある人の家を一週間の内に建て直してしまうというプログラムです。多くの場合に助けが必要な家で、その必要に応じて完全に立て直して、新しい家を提供するものです。その家族にとっては家だけでなく、新しい生活が提供されます。

子どもたちと何度か話し合い、方向を探っていく中で、今回の出来事は私たちにとっては、Extreme Makeover: Family Edition 上沼ファミリー版だと言い出しました。今まで触れてこなかった家族のテーマに家族全員が直面させられています。避けることができません。病、苦難、試練は不思議に家族の考え方、生き方が問われます。家族の価値観、触れてこなかったこと、弱さのすべてが問い直されます。ファミリーの大修繕のときです。まだ治療の方向が明確になってきているわけではないのですが、子どもたちが関わってきたことで、家族としてのオーバーホールの時でもあるかも知れないと思わされています。

最初のファミリーであるアダムとエバの家族もどこかで修繕の時を迎えたのであろうと思わされています。子どもが子どもを殺してしまうという悲劇が起こりました。親であるアダムがどのような思いでいたのか記されていません。辛い、暗い闇の中を通されたのだと思います。聖書はその辺の心情を語っていません。だれでもが想像できることなのであえて記していないのかも知れません。だれもが抱える家族の問題の源流にたどり着きます。

そして、カインがエデンの園から追放され、さらにアダムとエバにセツとエノシュが生まれたときに、「人々は主の御名によって祈ることを始めた」(創世記4:26)と記されています。どのような修繕がなされたのか分かりませんが、ともかく今までとは違った方向がアダムの家族に与えられました。

まだ治療の方向が定まって回復の道に入っているわけではないのですが、今回家族全員が集合してひとつの困難に直面することになって、少なくともファミリーの修繕をさせられている部分があります。

上沼昌雄記


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