ウィークリー瞑想

上沼昌雄(神学博士)のキリスト教神学エッセー

Thursday, March 10, 2005

Life is Complex

神学モノローグ

前回紹介したスコット・ペックのロング・ベストセラーThe Road Less Traveled(1978)に2つの続編がある。Further Along The Road Less Traveled(1993)とThe Road Less Traveled and Beyond(1997)である。そしてこの間にPeople of the Lie (1983)が出ている。ペックは初めからキリスト教信仰を持って書いているように思われるが、実は最初の本の後で信仰を持った。その事情を1993年の続編で語っている。

Life is difficultで始まる The Road Less Traveledで、すでに犠牲的愛による以外に霊的成長がないことを語っている。精神科医としての人間の観察の結果達した結論である。その犠牲的な愛は、キリストの十字架の道を歩む困難な生き方である。ペックはこの結論を受け止め信仰告白をした。

1993年の続編のテーマはLife is complexである。副題には「終わりのない霊的成長の旅」が掲げられている。人生は難しいだけでなく、いろいろなものが迷路のように絡み合って複雑である。霊的成長は、その複雑な絡み合いを冷静に受け止め、聖霊の息吹で少しずつほぐしながら、前進するだけである。一筋縄ではいかない。いつも白黒を明確にできるものでもない。信仰を持ってもすべてが思い通りに行くわけでない。恵みによって始まってもどこかで自分の意志や経験で動いてしまう。教会は信者の集まりであるが、同時につまずきを受けるところでもある。釈義的に教理的に正しい説教をしていても信者が成長するわけでない。

聖書の知識を積み、祈りを続けていけば、自然に霊的に成長すると短絡的に考えてしまう。そのように教会で教えられる。それが正統的な信仰だと教え込まれる。それでいながら問題は絶えない。聖書の教えに問題はない。信仰が足りないと責められる。最初の本がベストセラーになっていちばん講演に招かれたのはそのような教会からであったと言う。霊的成長を妨げている複雑な絡み合いを理解し、受け止めるためである。それは終わりのない旅である。

霊的成長は自分に死んでいく歩みである。自分の願望のための人生ではない。自分に死ぬことでより高度な人生の満たしを獲得する生き方である。自己実現のための人生ではない。

自己を超えた超越的な意味を獲得する人生である。しかし自己が確立していないと霊的成長はない。同時に自己充足ではない。パラドックスである。「いのちを救おうと思う者はそれを失い、私のためにいのちを失うものは、それを見いだすのです」(マタイ16:25)を何度か引用している。

Sexuality and Spiritualityについて真剣に取り上げている。性は神の創造によっている。それでいながら霊的成長を妨げる要因である。無視することも放っておくこともできない。複雑で面倒な問題である。それなのでより真剣に向き合わなければならない。

ピューリタンの影響でこのテーマは長い間伏せられてきた。禁欲主義でも快楽主義でもなく、創造の作品としての性を霊的に取り上げることである。霊的成長にとって避けることのできない複雑なテーマである。

上沼昌雄記

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